そもそも高麗人参とはどんなもの?朝鮮人参との違いや栽培方法を解説

高麗人参と朝鮮人参は同じもの

「○○人参」と呼ばれるものには、高麗人参、朝鮮人参、御種人参、田七人参、西洋人参、シベリア人参などいろいろありますね。しかしこの中には同じものを指す、いわゆる別名が含まれています。 本サイトでその効能について紹介しているのは「高麗人参」で、朝鮮や中国北東部の山林にのみ自生するウコギ科の植物です。古くは2,000年前の中国の文献でも紹介されているほど長い歴史を経て人々の健康を支えて来た食材の1つです。この高麗人参が、李氏朝鮮時代に江戸幕府の8大将軍徳川吉宗によって朝鮮から輸入され、国内で栽培を始めたときに「朝鮮人参」と呼ばれるようになりました。さらにこのとき朝鮮から輸入した人参の種を将軍が各地の大名に直々に与えたことから「御種人参(オタネニンジン)」という別名も生まれたそうです。つまり、「高麗人参」「朝鮮人参」「御種人参」はすべて同じものを指す言葉なのです。

高麗人参の栽培方法

さて、古くは中国や朝鮮でのみ自生し、江戸時代に日本に輸入されて以来は日本でも栽培されるようになった高麗人参ですが、現在の日本国内の主な産地が福島県・長野県・島根県といった狭い地域であることからもわかるように、育つ気候条件や土壌はかなり限られています。やはり現在の韓国が気候的には高麗人参の栽培には最も適しているようですね。こちらでは高麗人参の栽培方法について簡単にご紹介してみたいと思います

①土壌を作る

まず高麗人参を育てるには土作りから始めなければなりません。そもそも高麗人参は周辺の土壌の栄養をたっぷり吸収して育つため、栄養価の高い高麗人参を育てるには肥えた土壌が必須です。一般的には土壌づくりに最低1年、理想的には2〜3年かかると言われています。

②栽培に適した環境を作る

自生する高麗人参はほとんど日が当たらない山中や森の奥地で育ちます。つまり直射日光が当たる環境では育たないのです。そのため、高麗人参を育てるにはそうした環境を作らなければならず、小屋を建てて屋内で育てるか、遮光シートで覆う必要があります(ただし朝日だけは浴びさせなければなりません)。

③種をまく

最初に種を撒いてから1年に1枚ずつ葉をつけていき、やっと実をつけるのが4年目になった頃だと言われる高麗人参ですが、成長のピークは6年目。この時期の高麗人参には栄養素がたっぷり含まれ、サプリなどに使用される根の部分は最高品質の状態になります。サプリの原材料を見ても「6年根」を使っているものが高品質とされるのはこのためです。

間違えやすい「別の」人参

さて、「○○人参」という名前のついたもので、上記で紹介した3つの名前はすべて同じ人参を指しますが、それ以外にも栄養価が高く高麗人参と間違われることの多い別種の人参がいくつかあります。

○ 田七人参

血流改善や免疫力向上といったように、高麗人参とよく似た効能を持っていることから非常に間違われやすいのがこの「田七人参」。これは高麗人参と同じウコギ科の人参ですがまったくの別もので、2億5,000年前から存在する最古の人参とも言われているものです。中国の雲南省や広東省で栽培され、先ほど挙げた効能以外にも肝機能の向上や止血効果、高血糖の緩和といった作用があります。

○ 西洋人参

こちらも滋養強壮や疲労回復に役立つことから高麗人参と混同されやすいものの1つですが、高麗人参よりも作用が穏やかであるといった違いがあります。体内の余分な熱を冷まして潤いを与える作用もあることから、夏によく用いられます。

○ シベリア人参(エゾウコギ)

こちらはその名の通りシベリアなどの気温の低い地方で栽培される人参です。西洋人参とはまったく逆の身体を温める効果があり、気分を落ち着かせる作用もあるため、不眠症や精神疾患に対して用いられることが多いようです。